宮本武蔵の『五輪書』を読むと、「人にはそれぞれ活躍できる場所がある」と感じます。たとえば、『五輪書』には次のようなことが書いてあります。
戦いの道具にはそれぞれの強みがある
武蔵は、どんな道具にもそれぞれの強みがあるといいます。
たとえば…
1.短い刀。これは狭いところや、接近戦に強い。
2.槍。これは合戦の先手として威力を発揮する。
3.長刀。これは合戦の後手として威力を発揮する。
4.弓。これは平地での合戦に強い。
5.鉄砲。城にこもって守りを固めるときは、これ最強。
それぞれの強みが十分に発揮できる場所が、かならずあります。
木にもそれぞれの良さがある
『五輪書』には、家を建てるときの木材のはなしも載っています。
どんな木材にも、それぞれ良い使い道があるそうです。
たとえば…
1.まっすぐで節のない木。これは見えるところに使う。
2.節があって、丈夫な木。これは見えない部分の柱に使う。
3.弱くて、見た目のいい木。これは敷居や鴨居、戸、障子に使う。
4.節があってゆがんでいて、丈夫な木。これは強度が求められる部分に使う。
5.節があってゆがんでいて、弱い木。これは足場や薪にできる。
どんな木にも、活かし方があるんですね。
馬に乗れない武将
『五輪書』を読んで、思い出した話があります。
三国志の時代。
馬に乗れない武将がいました。
馬に乗れないなんて、武将としてはダメダメです。
でも彼は、組織作りや軍の指揮官として才能を発揮します。
そして「破竹の勢い」の語源になるほどの大活躍をしました。
馬に乗れない武将にも、活躍の道はあったんです。
泣き顔の武将
もうひとつ。思い出したことがあります。
今度は、日本の戦国時代のはなしです。
あるところに、いつも泣いているような表情の武将がいました。
ほかの武将たちは、
「あんな弱気な顔は武将として不吉だ」
「クビになればいいのに」
と思っていました。
でも彼の上司は、彼をかばってこう言いました。
「あの表情は、法事や葬式の使者としては最適だよ」
人それぞれの持ち味を活かせる場所があるんですね。