宮本武蔵の五輪書。今回は、風の巻(7)です。
素早い歩きにこだわらない
足運びにこだわる流派もあります。
浮き足、飛び足、跳ね足、踏み詰め足、カラス足など。
さまざまな素早い足運びを身に付けようという流派です。
私から言わせていただくと…
素早い足運びにばかりこだわるのは間違っています。
まず浮き足。これはダメです。戦いになるとどうしても浮き足立つものですから、むしろしっかりとした足取りを心掛けたいものです。
飛び足。これもダメです。飛ぶことに気を取られると、ろくなことになりません。そもそも、戦いの最中に何回も飛んでる場合じゃありません。
跳ね足。これもダメです。跳ねよう、跳ねよう、という気持ちで戦って勝てるわけがありません。
踏み詰め足。これは待ちの姿勢なので、とくにダメです。
そのほかにも、カラス足など、いろいろな素早い足運びがあります。
でも、沼地、湿地、山、川、石原、細道など、場所によっては素早く歩けないところもあります。
わが流派では、これといって素早い足運びをするわけではありません。
普通でいいんです。むやみに急がないことです。大事なのはタイミングです。